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2-39 あの日の記憶 1

last update Terakhir Diperbarui: 2025-11-04 16:22:09

 ――翌日、10時

 太陽の光が降り注ぐ社長室に司の姿があった。デスクの前にはPCが置かれていた。

画面には澪が映っており、唇を噛んで肩を震わせている。

『……沙月って……あの、白石沙月? 遥ちゃんの姉の……? 本当に……結婚を申し込んだの?』

『そうだ』

司が小さく頷くと、澪はヒステリックな声を上げた。

『どうして……どうして、あの女なのよ!? 私じゃなくて、何故あんな女に結婚を申し込んだりしたのよ!? あの女はねぇ、素性も分からない養女なのよ!」

『仕方ないだろう? 白石家に嵌められ、スキャンダルに巻き込まれてしまったからな』

『嵌められたって……一体どういうことよ! スキャンダルって、何!?』

澪の目に涙が滲む。

『……媚薬を盛られ、不本意な出来事があった。証拠も握られている』

『! 媚薬って……ま、まさか……?』

『……』

司は黙って話を聞いている。その沈黙が肯定を意味していた。

『そ、そんな……嘘だって言ってよ……司……』

とうとう画面の向うで澪がすすり泣きを始めた。

『仕方がなかったんだ……あれは単なる事故だ』

無我夢中で沙月を抱いたことを事故で片づける司。

『酷いじゃない……それだって……抱いたことには変わりないじゃない……なら、本当に……結婚するの……? 私がいるっていうのに……』

澪は涙でぬれた瞳で司に尋ねる。

『……三年だ』

『え……?』

『三年だけ我慢してくれ。離婚したら次に結婚するのは澪……お前だから』

『!』

澪は息を呑んだ。

『その言葉……信じていいのね?』

『……ああ。本当だ』

『分かったわ……貴方を信じる。愛しているわ、司』

『俺もだ。……そろそろ切るぞ』

『ええ、またね』

澪が頷き、司はビデオ通話を切ると室内に静けさが戻る。

『……』

背もたれに寄りかかると、司は天井を見上げた。

『あれから、四年か……』

司は澪との出会いを思い返した――

****

――四年前。

午後二時過ぎ。

その日司は、天野グループの傘下に置かれた企業を訪問するため、湾岸エリアを車で向かっていた。

車に乗り込んだ時から普段とは違う違和感があった。けれどきっと気のせいだろうと自分に言い聞かせ、車を走らせていた。

しかし徐々に違和感は大きくなっていく。

ハンドルの感触が微妙にぶれて、操作がしにくい。それにタイヤが何故か重く感じる。

(おかしい……整備は済んでいたは
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  • 冷酷御曹司は逃げた妻を愛してやまない   3-29 揺れる心

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